写真家に非ず
6年半にも及んだ大学の授業も終わり、宇宙の彼方を目指しているような気がしていた卒業が、いよいよ現実のものになりそうだ。そろそろ本格的に卒論を取り組まねば。
ちょっとしたバイトにありつくことができて、久々に働いた。働いてもお金を得るっていうのは良いよね。久々に充実した気分になった。
バイト先が、地元から電車で1時間ほどかかるので、行き帰りには原美術館で買った杉本博司の『アートの起源』を読んでいる。
杉本博司の作品に「放電場」というシリーズがある。放電を起こしたときに発生する稲妻をフィルムに収めたもの。雷には見えないが、どうやって写していたのか今まで気になっていたのだが、この本には書かれていた。
簡単に言ってしまうと、起電装置。電極と電極の間にフィルムを置き、稲妻をはしらせて写しているそうだ。それもエジソンなどが活躍した時代の文献まで参考にして、様々なタイプを実験したことが書かれていた。
他にもプリズムによって分光した光の帯を撮影した「偏光色」。色のグラデーションには「色即是空、空即是色」を連想し、この世界の全てがあるとかナントカ・・・とか着想点が面白い。
(追記:もう少し書くと、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫に分光した光は7色に分けているが、それぞれの色と色の間にはもっとたくさんの色があり、数値に置き換えられないグラデーションの部分に魅力を感じるのだそうだ。)
ここに書くわけにはいかないので、これは本屋さんで買って是非読んで欲しい。
それにしても、杉本博司というのは○○家なのか。杉本博司にとっては写真は単なる最終的なアウトプット(って言ったら良いのかどうか)として用いているだけに過ぎず、写真家と呼ぶには少し違う。現代芸術家が無難なところか。古今東西の文学歴史にも精通していてるので、キュレーターか、または哲学者だろうか。こういうふうに世界を見ているのかと、思わせられる。
電車の中で読んでいる自分はというと、写真で何かしようと思っていたが、そもそも間違っているのではないかと、薄々思うようになってきたのだが。それも、そろそろ確信に変わりつつある。写真やカメラありきでは表現は成立しないのだ。
もうしばらくバイトがあるので、本の続きは電車の中での楽しみに取っておこう。
2012-07-30 21:46
| 写真の話
| Comments(4)
卒論何にしようかね?^^
by カエル (2012-07-31 13:02)
テーマは決まってるんです。テーマだけですけどね(笑)
by chillout (2012-08-01 08:00)
う〜む!
面白うそうじゃな!その本!
by 多摩デジ (2012-08-04 19:31)
良いですよ〜おすすめです!
写真以外のことも勉強したほうが良いかもしれません。
by chillout (2012-08-07 16:51)