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モノクロ写真とピント

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家で印画紙をチャプチャプ。ようやく6×6用ネガキャリアも手に入った。
今は扱いが楽なRC印画紙だけでプリントしている。RCとはresin coatedのこと、紙をプラスチック樹脂でコーティングしてあるので、短い水洗時間で現像液などの薬品を洗い流すことができる。それに対してバライタ紙というのがある。バライタとは硫酸バリウム(baryta)のことだが、紙に直で感光材が塗られていて、現像液も紙の繊維にまで染み込んでしまうので、水洗が1時間から1時間半かかる。しかも乾燥すれば紙はカールするし、繊維も縮んで、ドライダウンと言って現像直後よりトーンが濃くなってしまうから、それを計算したうえでプリントしなければならない。そんな扱いの難しいバライタ紙は、感光材の層が厚いのでトーンも豊かで黒も締まる。(RCは感光材が薄いのと、プラスチックに光が反射してしまうので、黒がくすんだ感じになる。)

でもそれのどちらが良いとか悪いという話ではない。表現というのはアウトプットに依存するし、写真史というのも撮影機材やフィルム印画紙の性能による部分がとても大きいということが、自分が見聞きしたり調べたりするうちに分かるようになってきた。
だからRCならRCの、今の時代であればデジタルならデジタルの、表現できるものを表現すれば良いということ。以前にトークショーで北井一夫氏もそんなことを言っていた。
自分で言ってみたものの、実際は話の上でしか理解できてない。まだまだネガフィルムや印画紙のポテンシャルを活かしきれてないのだ。

閑話休題。

その扱いの楽なRC印画紙で、数をこなす。何が何だか分からないまま撮って、とりあえずプリントする。5300円もした、六つ切りサイズ(A4より一回り小さいくらい)が100枚入りの箱はあっという間に空になってしまった。

そして師匠のところへ持っていき、手に取るや否や師匠からはピントが来てないと言われる。ここで言うピントとは単に物理的なものを指しているのではなく、トーンとか輪郭の話。被写体とまわりのトーンが同じで、輪郭が取れてない=ピントが来ていない、ということだ。
ワークショップの撮影やプリント実習でさんざんやってきたことだが、今になってようやく実感として分かった気がした。ついでに言うと、自分のモノクロ写真に納得できなかった理由も分かり、まるで水を得た魚のような気分。

そういえば「カッコいい!」「自分もこんな写真撮ってみたい!」という写真のピントというのも、師匠に教えてもらったそれと同じだった。(しかも同じカメラなのに・・・。)そのピントというのが所謂「空気感」というものにも繋がるんだろうなという気もした。

ピントは「何を見ているか」以前の問題。しばらく今度はピントというのを意識して撮ってみよう、と思っても意外とコマが進まない。ヘタウマは伸びしろが少ないという話が頭を過った。
| 暗室雑感 | Comments(2)

コメント 2

カエル

なるほど。難しいけど、人には説明できないけど、自分はまだまだ全然だけどわかるような話かも。少し噛み締めてみよう!夢に出てきそうだね♪
by カエル (2011-06-21 01:11) 

chillout

まぁ・・分かりづらいですよね、言葉だけでは。
グレーの紙に同じグレーの紙を上から重ねて、
境目がはっきり見えないようなものです。

自分が撮ってる夢は時々見ますが、苦しみながら撮ってる夢は
まだ見ませんね(笑)
by chillout (2011-06-22 00:22) 

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