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写真家の「製造者責任」

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朝から出かけて、向かったのは千葉市にある千葉県立中央博物館。ここで内藤正敏氏の写真が見られるということで訪れた。

内藤氏は東北地方の民間信仰などを題材にした作品を撮っている。写美で見た、夜の闇の中で踊るイタコの人たちをストロボを炊いて撮影された写真が強く印象に残っている。「婆(ばばあ)バクハツ!」というタイトルもパワフルな感じだ。

写真展は「出羽三山と山伏」という企画展の一環として行われているもの。

出羽三山とは山形の月山、湯殿山、羽黒山のことで、修験道の地として信仰を集めていて、古くは平安時代にまでさかのぼる。山伏と呼ばれる修験者は山にこもって厳しい修行を行い、煩悩や穢れを払い、山が持つ自然の霊力を身につけて、衆生を救済するという。霊力というのがイメージしづらいが、山で暮らすのだから自然の知識は桁違いで、病気の治癒には薬草だけでなく鉱物も用いて、山伏の中でも「里山伏」と呼ばれる人たちは実際に治療行為も行っていたようである。
「里山伏」は、その山岳信仰を世に広めようと里に住んだ修験者で、かつて房総には多くいたということで、今でも「行人」と呼ばれる信者がいるのだそうだ。

内藤氏は民俗学者でもあるということも、今回はじめて知った。写美でもキャプションに書いてあったのだろうが、見落としたか忘れていたのだろう。写真はドキュメンタリーチックなものだが、写美で見た硬派なアート写真にもこのような裏付けがあるということになる。写真家は勉強しないと写真は撮れない、大なり小なり説明責任がある。何故撮ったのか。渡部さんはよく「製造者責任」と言っている。

外に出てみたら土砂降りになっていたので、博物館の中のレストランで雨宿り。食べたかき氷が、今まで食べたことの無いような不味さだった。

写真展は終わってしまいましたが、山伏展は9月まであるそうです。

千葉県立中央博物館 企画展「出羽三山と山伏」
http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/exhibitions/special_ex/2011dewa3310/dewa3310_top.htm
| 写真の話 | Comments(2)

コメント 2

カエル

chilloutさんってドキッとするものみに行かれますね。
印象的な写真が多いのかなぁ。。
by カエル (2011-08-08 13:45) 

chillout

言われてみれば確かにそんな気もしますねぇ。
ここに書いた以外にも見に行きますけど、やっぱり書いてるのは・・・。
by chillout (2011-08-08 14:58) 

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