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方向性とか

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暑さも和らいで、夜は涼しく過ごしやすい。「残暑」ということばが、ピッタリ合っていると思う。

露出"ド"アンダーで出来は良くないが、セイケトミオに似てると言われた一枚。カメラマガジンno.14に載っていた写真のことを言っているんだろうと思う。確かに似ていた。

いまやるべき課題も山積みだが、写真展後の自分の方向性も頭に引っ掛かっている。

自分が良いと思っていても、意外と使い古された表現だったり、いま流行の手法だったり、誰かとそのまま同じだったりする場合もある。だいたい誰かの影響って受けているもの。ビジュアル的なものも含めて、写真史上で誰がどんな表現をしていたか、俯瞰して観察する必要があるかもしれない。

しかも「写真ってこうだ」という既成概念を覆すウィリアム・クラインやロバート・フランクのような「波」も幾つかあって、ここ数年の間にもまた新しい波が起きているように思う。

その波に乗るも乗らないも良し、しかし飽きる写真でも当然ダメ、本当に奥が深い。「奥が深い」なんていう言葉で片付けらないだろうが、自分が深い森のど真ん中に立たされて、あなたの進むべき道を進んでください、なんて言われてるみたいだ。

夢は「○○(←自分の名前が入る)の写真に似ている」とどこかで会話されること(笑)とか、大風呂敷を広げておきながら、今もなおシャッターを切るたび「何を撮ってるやらトホホ・・・」とかボソボソと言っているのだ。

道のりは長い。
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産みの苦しみ

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カラーをまた少しプリントしに行く。この日は10枚だけ。

撮るものはおおよそ決まりなのかもしれない。個人的にはもう少しバリエーションが欲しいと思っていたが、今度は絞る作業が必要になってきた。沢山の英単語を知っていても、文法を知らなければ意味が無い。単語を文法に当てはめて、文章をつくるようなものだと教わる。何を言いたいのか整理するのだ。

ワークショップの講座が終わってから撮り始めて、何を撮って良いか分からない初めの頃は、いろいろと道筋を示してくれたが、これを富士登山に例えるなら車で五合目に行くようなものか。

そして撮れるようになって、色もコントロールできるようになったら、あとは一人で決めなければならない。最後の山小屋を過ぎて、山頂を目指すのだ。いろいろなステップを踏んできたんだなと思ったが、大したことなさそう。もしかしたら、実はこれからが本番で、産みの苦しみはまだまだ続くのかもしれない。

関係ないけど、山頂より手前の山小屋は八合五勺という高さ(?)にあるのが最後らしい。富士山には4年前に登ったが、1週間のうちに2回も登ったせいか、嫌になってしまってそれ以来。登るなら緑の多い静かな山にしたい。
タグ:GXR Workshop 2B
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写真家の「製造者責任」

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朝から出かけて、向かったのは千葉市にある千葉県立中央博物館。ここで内藤正敏氏の写真が見られるということで訪れた。

内藤氏は東北地方の民間信仰などを題材にした作品を撮っている。写美で見た、夜の闇の中で踊るイタコの人たちをストロボを炊いて撮影された写真が強く印象に残っている。「婆(ばばあ)バクハツ!」というタイトルもパワフルな感じだ。

写真展は「出羽三山と山伏」という企画展の一環として行われているもの。

出羽三山とは山形の月山、湯殿山、羽黒山のことで、修験道の地として信仰を集めていて、古くは平安時代にまでさかのぼる。山伏と呼ばれる修験者は山にこもって厳しい修行を行い、煩悩や穢れを払い、山が持つ自然の霊力を身につけて、衆生を救済するという。霊力というのがイメージしづらいが、山で暮らすのだから自然の知識は桁違いで、病気の治癒には薬草だけでなく鉱物も用いて、山伏の中でも「里山伏」と呼ばれる人たちは実際に治療行為も行っていたようである。
「里山伏」は、その山岳信仰を世に広めようと里に住んだ修験者で、かつて房総には多くいたということで、今でも「行人」と呼ばれる信者がいるのだそうだ。

内藤氏は民俗学者でもあるということも、今回はじめて知った。写美でもキャプションに書いてあったのだろうが、見落としたか忘れていたのだろう。写真はドキュメンタリーチックなものだが、写美で見た硬派なアート写真にもこのような裏付けがあるということになる。写真家は勉強しないと写真は撮れない、大なり小なり説明責任がある。何故撮ったのか。渡部さんはよく「製造者責任」と言っている。

外に出てみたら土砂降りになっていたので、博物館の中のレストランで雨宿り。食べたかき氷が、今まで食べたことの無いような不味さだった。

写真展は終わってしまいましたが、山伏展は9月まであるそうです。

千葉県立中央博物館 企画展「出羽三山と山伏」
http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/exhibitions/special_ex/2011dewa3310/dewa3310_top.htm
タグ:GXR 写真展
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久々に写真集を買う。

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色をコントロールできるようになったが、今度は別の問題がムクムクと芽を出してくるようになる。100枚くらいを並べて分類をしてみると、意外とバリエーションが無かったりする。同じものばかりを撮っているようだ。

そこで「自分でも思いがけず撮っちゃった」を作るという課題が出たので撮りに行く。プリントしてみないと何とも言えないものの、やっぱり撮っているものがワンパターンだなという気がする。別の新たな視点が欲しい。そのあたりも自分でコントロールできるようになると楽しいんだろうなと、つくづく思う。

そんな訳で本屋さんに行って写真集を買ってみようと思った。自分の好きなのは渋くてカッコいい硬派な写真、モノクロなら尚更だ。自分もそんなのが撮りたいと思っているのだが、実際にプリントで出てくるのは、それとは大きく違う写真だ。「好き」と「向いている」は別なんだなと思い知らされる。

さんざん迷った末にに選んだのは、川内倫子さんの『うたたね』。正方形写真でカラーネガということだけで選んだのだが、一見優しい雰囲気かと思いきや時々狂気のようなものを感じる写真もある。

買ってはみたものの、ひとまず立てる目標としてはレベルが高すぎたかもしれない。人に意見を求めるか、仲間の写真を見て学ぶか、でもやはり量とって生み出すのが最もベターなんだろうな。

時々、ポートレートはやらないの?と聞かれることもあるが、今度の展示ではこれまで慣れてきたやり方の延長のつもりなので、それは展示の以降の課題にしようと思う。

もう8月に入って、展示まであと1ヶ月半。額のレンタル、マットの制作等々を考えると、実質1ヶ月切っている。少しずつ焦ってきてます。
タグ:写真集
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しばし小休止でした。

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晴れれば気温も一気に上がり、雨が降れば蒸して緑の香りがして、いずれにしても夏らしくなってきた。ブログを放ったらかしにして、気がついたら6月も下旬になっている。

実のことを言うと、撮ってプリントしてちょっと疲れていた。

理由は単純なもので、単なる撮り方の問題だった。「被写体との距離は一定に」と言われたので、それまで寄りで撮っていたことが多い気がして、1m〜1.5mでばかり撮っていた。そうするとモノの全体像が見えなくなるぶん、今度は形ばかりを追うようになってしまって「何を撮って良いやら」と言っていたのだ。馬鹿のひとつ覚えもいいところである。だから今度は少し距離を置いて、茫洋とした感じに。そして改めて「何を見ているか」の検証だ。

それだけではない、写真を見られるというのも緊張する。最初から上手い人なんて居ないのだろうし、すぐに結果が出るとは思っていないが、相手は大先生。
カラープリントのときは2B暗室を使わせてもらっているので、プリントの最中から常に緊張しっぱなし、終わって帰りの電車に乗る頃には緊張も解けてもうグッタリだ。
ちなみに家でプリントしたモノクロ100枚を持って行ったときは、10秒くらいみて「輪郭が無いね」と言われたのが前回の話。

でも自分で選んだのだから、やっぱり結果は残したい。「これがオレの写真だ」と言えるようになりたいものである。

そろそろ、また撮り始めようと思う。
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「油断は禁物」

ある日の大学の数学を扱った講義で、数学が得意なタイプと苦手なタイプの人の違いという話があった。そもそも関数などで使う記号を教科書通り「 x y 」にするか、それとも自己流で「 a b 」にするかという話から発展して、ちょっと数学が得意な(だと思い込んでる)ヤツは、すぐに自分流で問題を解くようなって、伸びしろが少ないから途中から頭が混乱する、といったような内容。だから基礎をしっかり固めるのはとても大事なのだという。話には理解はできるが。

9月のグループ展に向けて、作品づくりをはじめている。
先日、暗室でプリントしたモノクロを40枚ほど渡部さんにみてもらいに、2Bへ。ワークショップ後から撮り始めた、何処でもない何でもない景色だが、普段自分が何を見て考えて社会に接しているかというバイアスがかかっているのだそうだ。

何を撮ってるのか自分でもよく分からず、トーンもコントラストもバラバラな写真をテーブルいっぱいに広げると、いくつかのグループに分けてもらった。そしてそれぞれのグループから、ハーフトーンな写真を1〜2枚選んで並べてみると、あっという間に組み写真が出来上がった。

これが客観的に見た「自分が撮っている写真」で、自分の撮っているトーンなのか。確かに実際に自分が撮ったものだが、写真展で他人の作品を眺めているような気分。今度からはトーンや、被写体との距離の置き方に気をつけてみることにした。

露出やプリントはきれいと言ってもらえてひと安心。本当は安心している場合でもないのだが。あと4ヶ月とちょっとしかないのだ。全然完成にはほど遠いのに、でも尊敬する写真家に、なんかちょっと褒めてもらって、ちょっと舞い上がってる。

油断は禁物。あの講義での話を思い出した。
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日中のコントラストの強い屋外のランドスケープを撮るより、日陰や夕方のようなフラットな光で撮影するのが好きだったりする。

ここ最近ローライに詰めるフィルムは、t-maxかフジカラープロ400がほとんどだったが、今回トライXを使ってみる。ローライに入れるのは今回が初めてだ。中間のトーンが豊富なぶん、白は飛びやすく、黒は潰れやすいため、見た目にはコントラストが強くなる。話には聞いたことがあった。それならば、シャドー・ハイライトを構図から外してみたらどうだろう。考え方としては間違ってはいないだろう。

ローライ持って、久々に以前の地元に来てみた。ボロくて汚い駅だったが、高架線路になって白く真新しい外壁が、都会の様相を呈している。その駅で以前はバイトをしていた。他のバイトや社員の方とたまに飲みに行ったりして男社会の下世話な会話で盛り上がったりした。今も元気にしてるかなと、チラっと改札窓口に視線をやるが、メガネをしていなかったのでよく見えなかった。

さてさて撮影の調子が乗り始めると、いつもローライのシャッター音を口先で「チッ、チッ」と真似している。もう桜が満開なのかと思って近づいてみたら、ハクモクレンだった。マジックアワーの薄明に浮かぶ花が艶やかだ。時折、f4 1/30か、f5.6 1/60かで迷う。とりあえず2本だけ撮ってみた。

どんなネガになり、どんなプリントが出てくるのか、ちょっと楽しみである。

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ツイッターでも書いたが、冬は青森に行こうと思っている。

渡部師匠に触発されたのではなく、NHK BSでやっていた写真家小島一郎の足跡を辿る紀行番組を見て、旅に出たくなってしまったのだ。(http://www.nhk.or.jp/artbs/program/index3.html)俳優松重豊が持っていたのは多分ハッセル500Cか500C/M、レンズは初期型白鏡筒の80mmのようにみえる。テレビ越しにシャッター音が聞こえ「いい音だナァ」なんて独り言。

ワークショップでは、モノクロプリントはストレートで焼くのがいちばん美しいという話だった。それは私も同じ考えだが、小島一郎の覆い焼きされた写真も、画面を通して見ているとは言え、神々しいものを感じる。それでしかもシャドー部は潰れず、ハイライトが真っ白く飛んでいないのが見て取れる。ここでも、良いモノクロプリントの理論がちゃんと守られているのだ。

もう心は東京にあらず。って今の自宅は埼玉の所沢だが。

そんなワケで今冬は雪の頃に青森へ。
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記憶の記録

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北海道は一回休み。

この前、久々に暗室に入った。

記録しているノートによれば、前回は2月16日。

そのときのプリントの内容からして、多分、ハッセル903WCを手に入れた試し撮りしたネガの、最初のプリントである。まだ使い慣れないカメラでの試し撮りで、特に思い入れもないようで、撮影時の心情なんてのは思い出せない。

暗室では、すぐに飽きたか、疲れたのかで、たった数コマ分だけプリントしただけで終わってる。プリントしたい写真なんて山ほどある、はずなのだが? 好きなはずの写真が、心から楽しいと思えなかったのかもしれない。また、その頃の自分が嫌いで許せなかったのが、ノートからは思い出される気がする。

しかし立ち止まって、よく見てみよう。

展示をするたび、自分の写真を気に入ってくれる人がいる。話をしてみたいと言われる。握手を求められたこともあった。良いじゃないか。幸せじゃないか。

写真展の前後には、よくそんなことを考える。
 

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