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思わせぶりな写真

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新宿のプレイスMで藤岡亜弥さんの展示を見る。
以前に赤々舎で展示を見て以来のファンなので、今回も楽しみに見に伺うことができた。今年はじめの銀座ニコンでの展示「Life Stydies」の続編ということで、前回展示と同じくニューヨークで撮影されたもの。

ニューヨークのスナップではあるが、私写真としての要素が大きく、一枚一枚に写る場所や、被写体と作者の関係性も謎めいていて、考えても分からないから見ていてモヤモヤする。(良い意味で)

モノクロの写真の中に、ハーフサイズで撮影されたネガで、1枚の中に連続した2コマがプリントされた写真を見て、デジャブという言葉が思い浮かんだ。一度見た光景が「この感じどこかで見た」とハッして、もう一度振り返って見ているような気分になった。

それにしても、藤岡さんの写真って「思わせぶり」だと思う。

人って物事を理解するときに、自分の記憶とか概念と照らし合わせるワケだけど、
写真は100%説明してくれるワケではないから、見る側はその写真が何なのかを理解しようと必死に考える。

例えば、笑っている人の写真があったなら「楽しいんだね」で終わってしまうかもしれない。カフェで撮ったお菓子の写真なら「おいしそうだね」と100%説明してしまい、観る人の考える余地が無い。

しかし一方で、無表情のポートレート写真があって「この人は怒っているのか、悲しんでいるのか、何を思っているのか」と観る人は考える・・・自分の記憶や概念と照らし合わせながら。でもやっぱり分からないから、見た後もモヤモヤするし、記憶に残るんだろうな。

そうやって情報とかヒントを小出しにしながら、観る人を自分の世界に引き込んでいく。藤岡さんの写真はそういう写真だと思う。

最近写真撮ってるの?と聞かれたので、撮り溜めていますとは言ったけれど・・・。言うほど撮っているワケでもないが、僕もそろそろ形にまとめてみたいなと思った。

ところで藤岡亜弥さんの、妹のちささんは絵本作家さん。(クッキー箱のリスの絵の方です) ちょうど伊勢丹で個展をされているとのことで帰りに立ち寄って見てきた。とてもほっこりした気持ちになった。
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久々に暗室稼働

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朝晩がだいぶ冷え込んできた今日この頃。家にいれば暑くもないし寒くもない、寝るにはちょうど良い気温だから、出不精がさらに出不精になると思う。

久々にプリントした。最近は全然写真と向き合ってないなー、もっと本気で取り組みたいと思いつつ、黙々とプリント。今回は旅行のスナップがほとんどで、目指している方向のものは特になし。

そうそう・・・「目指している」と言えば、最近自分の写真がどこを目指しているのか分かったような気がする。むかし2Bの講座の中で、表現にはバックボーンがあると習ったことがある。バックボーンというのは、表現を成立させる作者自身の経験や考え、生い立ち、受けた影響や時代背景などのことを指しているものと自分では理解している。それらが関係し合い、撮る対象物や、セレクトに繋がるものではないかと思う。

僕は抽象的な写真ばかり撮っていて、一枚撮っても何がなんだか分からないし、複数枚並べてみても分からない。具象的な写真を撮ることもできない。今まで何でだろうと思っていたのだが、
それがつい最近になって、自分自身のバックボーンと結び付いたような「気がした」のだ。

じゃあ具体的には何なんだよと言われるかもしれないが、気がしただけで自信を持って言えることではないので、いつかのの機会に。そういうのに特化したワークショップとかってあるのだろうか。
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| 写真の話 | Comments(3)

他人の不幸は密の味

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1ヶ月ほど前の話になるが、高速道路で運転中に後ろの車に追突された。
渋滞中で時速10キロ前後で走っていたところ、後ろから20キロくらいのスピードで突っ込んできた。バックミラーで迫ってくる車を見て「あ、ぶつかる」と気が付いたときには既に時遅し。大きな音を立ててぶつかってきたけど、どんな音だったかよく覚えていない。

相手は普通の乗用車。よそ見か居眠りをしていたようだが、お互い怪我がなかったのは不幸中の幸いだった。車は写真の通り。いくら物とは言っても愛着は湧くもので、心が痛む。修理できればいいのだが。

110番と保険会社に電話し、警察とロードサービスが到着するまでの間、外に出て路肩で待つことになった。横をたくさんの車がノロノロと通り過ぎていくのだが、人間の野次馬根性には驚かされる。皆にジロジロと見られ、我々は格好の見世物である。観光バスに乗ったツアー客のおばちゃんたちが他人事みたいに「うわぁー」とか「せっかくの休日なのに」と言ったかどうかは知らないが、身を乗り出してこちらの様子を興味津々に眺めていたりするのだ。きっと他人の不幸は蜜の味なのだろう。人の本性が垣間見得たようで、ちょっと面白かった。

以前に、藤原新也が車に撥ねられて、覗き込んでくる野次馬の顔を撮りたいと思ったと、何かで読んだことがあるが、今回はそれに近いものがある。自分もバスの窓から覗き込んでくる人の写真に撮りたいと思ったのは言うまでもない。ローライしかない。キヤノンのデジタルを持っていなかったことが悔やまれる。事故のことより「アレを撮らないで、何のために写真やってるんだ」と、こんなところで撮影意欲の湧く自分に呆れるやら何やら。

今のところ、むち打ちの症状も無く、相手への処罰感情も特になく(保険会社ってケチだなと思ったけど)、お詫びの菓子折りで送られてきた大好物のシガールをほおばる今日この頃です。
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| 日々雑感 | Comments(3)

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